皆さんはバス運転手にどういうイメージを持っていますか?
✓お客さんを酔わさないスムーズな運転
✓一般車に迷惑をかけない気配り上手な運転
など運転技術に関する事を思いついた方が多いと思います。
確かに僕もバス運転手になる前は、いかにバスを上手に操作できるかが大事だと思っていましたが、実際は全く違いました。
もちろん安全運行のために必要な技術を持っていることは大前提ですが、誤解を恐れず言えば実は運転が下手でも問題ありません。
これからバス運転手を目指す方は、この記事の内容を知らなければお客様から苦情をもらってしまうかもしれません。
そうならないように、バス運転手になる上で必要な心構えや考え方を詳しく解説しています。
この記事を読めば入社後にお客様から苦情を貰って、あなたの評価を下げることが無くなります。
↓筆者の自己紹介
バス運転手の仕事は運転技術が最も大事なんじゃないの?
結論から言えば「接客応対」の方が重要です。お客様からのお褒めも苦情も「接客応対」に関することが多いのです。
※ここに記載した内容は特定の会社・団体・組織・個人を指すものではありません。またバス会社や仕事によって状況は異なるので、この記事の内容がすべて当てはまるわけではない事をあらかじめご了承願います。
先輩運転手のバスに乗ったときの衝撃
僕は新人の頃、休日を利用して勉強のために先輩のバスに乗っていました。
すでに独車運行をしていたものの、運転操作はまだまだ未熟で自分の理想とはかけ離れていました。
そのため先輩のバスに乗り、僕との違いを見ることで操作の仕方を盗もうと思っていたのです。
なぜ当時の僕が運転操作に対してそこまでこだわっていたかと言うと、
「お客様は揺れないスムーズなバスに乗りたいはずだ。揺れない運転操作ができればお客様からお褒めの言葉をもらうことができるだろう。」
と考えていたからです。
お客様が求めることに応えれば、お褒めの言葉をもらうことができ会社からの評価につながると思っていました。
そんな中ある時、お客様からお褒めの言葉をたくさんもらう先輩運転手のバスに乗りました。
僕はさぞかしスムーズな運転操作なんだろうと期待して乗車しましたが、想像とは真逆で特にシフトチェンジ時のショックが大きく、
「逆に苦情が来るんじゃないか…」
と内心思ったほどでした(失礼!)
しかしお客様が降車するときにかなりの割合で、
「ありがとうございました。」
と言って降りていくではありませんか。
僕はびっくりして、どうしてなのか先輩の様子をじっくり観察しているとその答えが分かりました。
それは、
「接客応対」
でした。
✓お客様降車時は笑顔でありがとうございました
✓高齢者や体の不自由な方に対して丁寧な声掛け
などなど、とにかく「目配り」「気配り」「心配り」ができている上に、接客応対が爽やかで丁寧だったのです。
お客様にとって丁寧な運転操作が第一だと思っていた僕にとって衝撃的なことでした。
お客様はバスは揺れるものと思っている
バス運転手になる前、僕がバスに乗っていた頃を思い返すと、
「今日の運転手は運転が上手だなー」
よりも、
「今日の運転手は不機嫌そうだなー」
など接客応対の方をよく見ていました。
そもそもバスなんて車体が大きいし揺れるものと思っていたので、運転が少々ギクシャクしたところで苦情なんていれないし気にも留めていませんでした。
実際に、僕が新人バス運転手の頃は未熟な為バスが大きく揺れることもありましたが、それによる苦情は来たことありませんでした。
それよりもバスが大幅に遅延したことに対してお客様に状況説明やお詫びのアナウンスができていない事に対して文句を言われたことはありました。
運転操作にこだわりすぎても運転手の自己満足に終わる
毎日バスを運転していると、日によってうまくできた時とそうでないときがあります。
自分の体調の良しあしやその日運転するバスの調子によって変わってくるのです。
そんな中で自分の理想の運転操作ができた時の、乗務が終わった後の「仕事をやり切った感」は半端なく高いのですが、お客様でその微妙な違いを感じ取ろうとする人はほとんどいません。
なぜならバス運転手は自分でバスを運転しているので、自らの操作によって発生したバスの揺れは敏感に感じ取ることができます。
しかしお客様は音楽を聴いていたり、スマホをみていたり、新聞をよんでいたりして車内で過ごしているので、よっぽどでない限りその揺れを意識することはないのです。
お客様の中には、現役バス運転手の方で意識して観察している場合もあるとおもいますが、大半のお客様は微妙な違いを感じていませんし感じ取ろうともしていないのです。
「お客様の声」は運転操作よりも接客応対に関するものが多い
バス会社にはお褒め、苦情、改善点など様々な「お客様の声」が寄せられます。
なかでも「苦情」に関する声を見てみると、運転手の「接客応対」に関する内容が多いです。
「目つきが悪かった」
「対応が不愛想だった」
などなど、運転操作に関する苦情と比べると圧倒的に接客応対系の苦情が多いです。
もちろんよっぽどの危険を感じた運転をしたら苦情が来るでしょうが(そもそもそんな運転手は不適合です)、ちょっとやそっとの揺れで苦情が来ることはほとんどありません。
またお褒めの言葉も、運転操作より接客応対に関するものが多く「お客様の声」は運転操作系に関するものは少ないのです。
バスの運転だけしていればいい時代は終わっている
令和の時代、黙々と安全運転でバスの運転だけすればいい時代は終わっています。
昔であれば不愛想でもぶっきらぼうでも、
「怖い運転手だな。」
ぐらいの認識で終わっていたかもしれませんが今は苦情に直結します。
安全運転は当たり前として、それ以上にお客様に対する丁寧な接客応対が求められているのです。
しかしお客様からお褒めの言葉を貰おうとして、無理に頑張る必要はありません。
特に一般路線バスは乗降するお客様が多く、毎日毎日気を張って頑張っていたらあなた自身が疲れてしまいます。
誤解を恐れずに言えば、
「苦情を貰わない接客応対をすればいい。」
と言うことです。
もちろん接客を一番頑張りたい運転手は、どのような接客をすればお客様が気持ちよく乗車していただけるか突き詰めて考え実践していけば、それは素晴らしいことだと思います。
しかしすべての運転手がそうではないと思いますし、毎日無理するとストレスがどんどん溜まってきます。
最低限の苦情を貰わない接客は難しい事はありません。
なぜなら
✓声のトーン
✓受け答えを少し明るいトーンで丁寧に
していれば苦情が来ることはまずありません。
それでもなぜ接客に関する苦情が来てしまうのか
それは、上記の接客応対を毎日毎日続けることが難しいからです。
運転手だって人間です。
不機嫌な日だってあります。
一般車の急な割込みや、なかなか進路を譲らない一般車にイライラすることもあります。
そんな時にふと、ぶっきらぼうな言い方になったり、目つきが悪くなったり、対応が不愛想になったりするものです。
お客様は黙って乗車されていますが、運転手の接客は見てないようで見ています。
常にお客様から見られているという意識をもてば、苦情に繋がる様な接客応対はできないと思います。(とはいうものの実際問題乗務中にイライラすることはあります。0にすることはできませんが…)
【まとめ】バス運転手は運転が下手でも問題なし!?運転技術より大事なことをお伝えします
お客様に常にみられているという意識を持つ必要があるとお伝えしましたが、必要以上に意識する必要はありません。
要するに、バス運転手は「運転操作」よりも「接客応対」を大事にするという心がけを持ち、その応対はお客様から見られているという適度な緊張感をもって乗務することが重要なのです。
もちろん運転操作も接客技術も高いレベルを持っている運転手が最高なのは言うまでもありませんが。
これからバス運転手を目指す方には、ぜひ運転操作だけでなく接客応対も意識していただき、お客様から苦情を貰わないような運転手になっていただければと思います。