バス運転手になりたい方へ、バス運転手の1日はご存じですか?
検索すれば色んなバス会社のHPに「バス運転手の1日」が説明されているので、
そんなこと知ってるよ。
と思っている人も多いと思いますが、
それで具体的にバス運転手の仕事内容を想像できましたか?
少なくとも僕はいまいちピンときませんでした。
僕が転職活動をしていた頃は、よくバス会社のHPに記載されている1日の仕事の流れを見ていました。
少しでも仕事の流れを把握し入社後のイメージを膨らませると共に履歴書を書く時の参考にするためです。
しかしざっくりと把握することはできましたが、そこから具体的に仕事内容をイメージすることができませんでした。
僕のように未経験でバス運転手になる場合は、事前にバス運転手になったときの自分をしっかりイメージすることが重要です。
入社前と入社後のバス運転手に対するイメージの乖離をできるだけ少なくしておかないと、
こんなはずじゃなかった…
となりかねないからです。
その為にもリアルなバス運転手の1日を知ることは重要なのです。
(履歴書を書く際のヒントにもなります。)
この記事では、20代未経験でバス業界に転職し一般・高速路線、貸切バスを経験してきた現役バス運転手の僕が伝えたい、
「バス運転手のリアルな1日【路線バス編】」
を詳しく解説します。
バス会社のHPには載っていないような、運転手目線の解説や失敗例なども盛り込んでいますので是非最後までご覧ください。
↓筆者の自己紹介
※ここに記載した内容は特定の会社・団体・組織・個人を指すものではありません。またバス会社や仕事によって状況は異なるので、この記事の内容がすべて当てはまるわけではない事をあらかじめご了承願います。
バス会社のHPに載っていないようなリアルなバス運転手の1日が知りたい。
まずバス会社が作成した動画を視聴していただき、基本的な流れをご覧ください。
バス会社公開のバス運転手の1日
今回はYOUTUBEで公開されている、
〇琉球バス
〇東急バス
の3社の動画をご紹介します。
基本的な流れはどのバス会社も一緒ですが、映像で見ると会社の雰囲気なども伝わりよりイメージしやすいですね。
しかしあくまで会社目線で作成された動画であり、また限られた動画の長さで盛り込む内容は限られてきます。
そのため視聴していただいた流れを基本に、僕が運転手目線で補足説明する感覚で見て頂ければと思います。
京浜急行バス株式会社(神奈川県)
株式会社琉球バス交通(沖縄県)
東急バス株式会社(東京都)
僕の「【完全版】バス運転手の1日【路線バス編】」はこちら!
【22:00】就寝
翌日の勤務は出勤時間が6時30分です。
仕事が終わり、ご飯食べ、お風呂に入って、自分の時間を過ごしたらあっという間に就寝時間になりました。
もう少しyoutubeを見たい欲望を抑えながら、歯磨きをしながら目覚まし時計を3つセットします。
1個はスマホのアラーム。残り2個は置き時計(電波時計)でそれぞれ5分ずつ時間をずらします。
スマホは充電器に繋いで手元に、2個の置時計は手の届かない場所に別々に置いて、消灯しベッドに入ります。
が、翌日の天気が気になりスマホを見ているうちにいつの間にかまたyoutubeを見て、結局眠りにつくのは22:30分ごろになりました。
解説
バス運転手になりたい男女
バス運転手の1日の仕事の流れの記事なのに、なぜ前日の就寝から始まってるの??
と思ったあなた。
バス運転手の仕事は前日の就寝から始まっているのです。
以前の記事で、「バス運転手は寝るのも仕事」とお話しましたが、安全運行の妨げとなる眠気を感じないようにするためには、睡眠時間の確保が非常に重要なのです。
注意点
寝る前は必ず目覚まし時計を複数個セットしましょう。
アラームを何個もセットするのめんどくさいからスマホのアラームだけじゃダメ?
疲れてるときは目覚まし時計をセットする前にベッドで寝落ちしそう。
この様な状況になると、翌日寝坊してしまう確率が上がります。
バス運転手の出勤時間はただでさえ不規則で寝坊するリスクがあるのに、目覚まし時計を疎かにしているといつか必ず寝坊してめちゃくちゃ焦る日が来ます。
そうならない為にも、こちらのバス運転手の寝坊対策の記事をご覧ください。
【5:00】起床&準備
起床時間から5分おきにアラームをセットしていますが、30分前には目が覚めます。
新人の頃はアラームの音で目が覚めることが多かったのですが、数年もすると職業病なのか大体起床時間の30分前には目が覚めるようになりました。
本当は起床時間までもう1度寝たいのですが、2度寝して寝坊するのも怖いのでスマホでニュースなどを見ながら過ごします。
そうこうするうちに起床時間になり、アラームが鳴ったのを合図にベットから起きて準備にかかります。
基本的に朝食は食べないので、シャワーを浴び、歯磨きをして制服に着替えたら家を出ます。
解説
通勤距離にもよりますが、僕の場合は出勤時間の1時間半前には起床します。
準備時間に30分、通勤時間に30分かかるため、出勤時間の30分前までには会社に到着するよう逆算して起床時間を設定します。
また僕はできるだけ寝たいので準備時間を最小限にするため、できる準備は前日までにしておきます。
朝にシャワーを浴びるのは、特に夏場はバスの運転席は冷房が効きづらく、暑くて汗をかきやすいのでできるだけさっぱりした状態で出勤したいからです。
注意点
寝坊に要注意です。
よくあるのは、
○アラームで目が覚めたにも関わらず2度寝する
これらは目が覚めたときには出勤時間を過ぎていたなんてことになりかねませんので、自分自身でしっかりとルールを決めて、寝坊対策を取ることが重要です。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【5:30】通勤
僕は車通勤ですが車に乗り込む前に、仕事に必要なもの(特に免許証)を持ったかどうかしっかり確認します。
この時間であればまだ通勤の車も少なく、スムーズに流れるため気持ちに余裕を持って通勤できます。
通勤途中に事故をしてしまうと元も子もないので、眠いときは注意散漫になりがちですが、充分に安全確認しながら会社に向かいます。
解説
早朝であれば交通量が少なくスムーズに流れるので、順調に30分ほどで通勤出来ます。
これが通勤ラッシュの時間帯になると渋滞するので通勤時間は余裕をもって1時間は見ておかなければなりません。
注意点
家を出る前に忘れ物が無いかしっかり確認しましょう。
特に運転免許証が無ければ乗務できず誰かに借りることもできないので、所持しているかは必ず確認します。
通勤途中に気がつけばまだ出勤時間に間に合うこともあるかもしれませんが、会社に到着して点呼時に気が付いた時はまさに絶望です。
【6:00】出勤
出勤したら、
〇健康状態の申告
〇運転免許証の所持と有効期限確認
〇アルコールチェック
などを行います。
その後点呼から乗務するのに必要なものを受け取りバスに向かいます。
解説
朝の時間帯は出勤ラッシュになり、出勤の順番待ちになることもあります。
またバス運転手は同じ会社でもシフトが合わず、数カ月会わない運転手もいるため、久しぶりに会った時はつい出勤前に話し込んでしまうこともあります。
注意点
出勤時間ピッタリに出勤しても遅刻にはなりませんが、遅くても15分前までには出勤するようにしましょう。
なぜなら、その日に乗るバスの不具合を点検時に発見することもあり、その場で直すにして車輌を替えるにしても時間がかかり、出庫時間ギリギリで慌てて出庫するなんてこともあり得るからです。
焦っているときは、事故やその他運転手がやりがちなミスを犯しやすくなるので、できるだけ時間に余裕を持って出勤するようにしましょう。
また本人は間に合うとわかっていても、点呼はハラハラしながら出勤してくるか待つことになります。仮に寝坊して明らかに間に合わない場合は、代替要員の確保をしなければならないからです。
仮にギリギリの出勤になるとしても、会社にその旨を連絡しておけば点呼も慌てずに済みます。
更に意外と多いのが、余裕を持って出勤したにも関わらず、上記で話したように久しぶりに仲の良い運転手と会った時は時間を忘れて話し込んでしまい、出勤ギリギリで気がつくパターンもあるので、出勤前の立ち話はほどほどにしましょう。
【6:20】運行前点検
定められた点検項目に従ってバスの点検をします。
見習いの頃は点検項目の多さに、
「これを全部覚えられるのか??」
と不安になり、すべて点検するのに時間もかかっていました。
しかし、毎日やっていれば嫌でも覚えますし、慣れると5分~10分程度で終わるようになります。
注意点
新人の頃は見落としが無いように時間をかけてきっちり見ていきますが、悪い意味での慣れが出てくると流れ作業になってきてしまいます。
すると、本来点検すべき項目を飛ばしてしまったり、しっかりと見なかったために最悪の場合運行中に車両の不具合が発生してしまうこともあります。
また意外と見落としなのがバス外観のキズです。
運行前点検でしっかりと見つけることができれば、そのキズの原因が自分ではないとはっきり証明できます。
しかし見落として運行途中あるいは運行終了後に気が付いた場合、たとえ自分がつけたキズではないと自信があったとしても運行前に申告してなけらば、疑いの目が向けられることになるかもしれません。
バスはいつもキレイにされているしキズがあったらすぐ気が付くんじゃないの?
確かに運行が終わるとバスは綺麗に洗車されますし、大型2種免許のプロドライバーが運転していますから、バスは綺麗でキズがあればすぐに気が付くと思われるかもしれません。
しかし、卸したての新車であればまだしも、バスの車体をよく見てみると飛び石などで小傷が意外とあちこちついているものです。
また街路樹の枝が少し飛び出ているだけでも車体に擦れることもありますし、原付などのバイクがすり抜けていくときにバイクのミラーが車体に接触することもあります。
車体が大きいがために一般車と比較しても車体に傷がつきやすいと言えます。
その様な中で毎日点検をしていると少々のキズであれば当たり前についているので、キズに対する感受性が下がってしまいより大きな傷や凹みに気が付かない事もあるのです。
また点検時が常に明るい時間帯とは限らないので、特に早朝などはライトを使っていたとしても更に傷を見落としやすくなります。
【6:40】出発点呼
点検が終わり他の乗務員と談笑したり一服すると、出発点呼を受けます。
出発点呼が終わると初めて支店(営業所)から出庫できます。
僕は朝早い出勤の場合は頭が回らないので、他の乗務員と会っても最低限の挨拶と一言二言会話をするだけで、出勤から出発点呼まで淡々と進めていきます。
解説
出発点呼では、その日の仕事内容の再確認や車両に異常はなかったかを報告します。
また運行管理者から運行上の注意点や道路状況の報告等が行われます。
毎日行うことですので出発点呼も流れ作業になりがちなのですが、運行管理者からの報告は日によって変わってきますのでしっかり頭に入れて運行しましょう。
注意点
時間ギリギリに出発点呼を受けてバタバタしながら出庫してしまうことに注意しましょう。
例えば、出発点呼前に久しぶりに会った乗務員と話し込んでいると、あっという間に時間が過ぎます。
バス運転手の仕事はシフト制なので仲のいい乗務員であっても数週間、時には数カ月会わないこともあります。(支店・営業所の規模にもよりますが)
そのため久しぶりに会うと積もる話に花が咲き、つい時間を忘れて話してしまうことはよくあります。
焦って出庫するのは、事故やミスの元になるので時間を気にしながら余裕をもって出発点呼を受けるようにしましょう。
【7:20~12:30】乗務前半
いよいよ乗務開始です。
僕の会社は担当車制ではないのでその日ごとに乗るバスが違います。
そのため、乗ってすぐはバスになれることに集中します。
特にブレーキはカックンブレーキにならないよう、スムーズに停車できるよう回送中に修正していきます。
朝の通勤通学時間帯はお客さまも多いので、特に立席のお客さまがでてくると車内事故を起こさないよう運転操作に気をつかいます。
短い休憩を挟みながら、乗務前半を終えます。
解説
運行する地域にもよりますが通勤通学の時間帯の車内は、
「しーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん」
としています。
もちろん走行中はバスの音しかしませんが信号で停車中にアイドリングストップすると、車内に40人以上いるにもかかわらず、しゃべる人が誰一人いないので沈黙の時間が流れます。
そんな時ふと車内ミラーを見ると、じっと前を見ていたり、
「さっきの信号行けただろ。」
と言わんばかりに僕と目が合うこともあり、新人の頃は朝の時間帯の運行が非常にプレッシャーやストレスに感じていました。
注意点
朝の一本目は野球で例えるなら、まだ肩が温まってない状態です。
担当車であればある程度、そのバスの癖も理解していると思います。
しかし、特に毎日違うバスを乗るのであれば回送中に、アクセル、ブレーキ、クラッチ等の癖をできるだけつかむように心がけてください。
またお客さまが多いとバスの乗降や発進・停車が多くなるので、車内事故等に十分注意する必要があります。
更に雨が降っていれば大幅な遅延が発生することもしばしばあります。
お客さまによっては降車時に文句の一つや二つ言ってくることもあるかもしれませんが、感情的にならずに冷静に対処しましょう。
早発はダメですが、遅れに関しては全く問題ありません。
10分遅れようが、20分遅れようが、お客さまに状況を説明したならば、焦らず冷静に安全最優先で運行しましょう。
【12:30~15:30】休憩
いよいよお待ちかねの休憩です。
車庫に戻ったら先に休憩している他の運転手に挨拶し、トイレをすませて近くにあるお店に行きます。
同僚や先輩と一緒に食べに行くこともありますが、基本的には時間が合わないので一人で食べることが多いです。
食べ終わると車庫に戻って、寝ます。
寝ずに他の人とずっと喋っている運転手もいますが、僕は寝ないと後半の乗務が持たないので、睡眠はしっかりとるタイプです。
寝坊しないようにアラームをしっかりセットして眠りにつきます。
解説
僕の会社の場合、休憩場所は複数あり運行路線によっては県外のこともあるので、その日の休憩箇所周辺のどのお店に食べに行こうかなと事前に考えておきます。
お弁当持参や車庫まで配達注文する運転手もいますが、僕はいろんなお店に食べに行くことが好きなのであえて歩いて食べに行きます。
また食べ終わった後の過ごし方も様々なので、あなたに合った過ごし方でリラックスすることが重要です。
注意点
休憩中の過ごし方は自由ですが、注意しなければならないのは「次の発車時間」です。
特に僕のように休憩中に睡眠をとる方は寝坊して発車時間に遅れることは絶対に避けなければなりません。
休憩所に何人も運転手がいれば誰かが気づいて起こしてくれるんじゃないの?
と思っているあなた。
誰も起こしてくれません。
起こしてくれないというより起こせません。
なぜなら発車時間が違いますから、あなたが寝ている間に先に発車しますし、仮にあなたより後の発車だとしてもあなたの発車時間や状況まで把握しているとは限りません。
出庫してから帰庫するまでの時間管理はすべて自分がしなければいけませんので、休憩時間で寝るときも次の出発時間をしっかり把握し、アラームをしっかりセットしてから寝るようにしましょう。
【15:30~19:30】乗務後半
長い休憩が終わればいよいよ後半戦です。
今度は帰宅ラッシュのお客さまが多くなります。
早朝からの出勤なので疲れがでてきて集中力が切れやすくなってきますが、事故や経路間違い等に繋がるので気を引き締めて運行します。
無事に最後終点まで到着したら、しっかりと車内に寝過ごしのお客さまがいないか、また忘れ物やゴミなどが無いかをチェックして支店(営業所)に帰庫します。
注意点
薄暮時は徐々に暗くなっていくため視界が悪く事故も起きやすくなります。
早めのヘッドライト点灯により自車の存在を早めに知らせるとともに、歩行者や自転車の存在や動向にも注意して運行します。
また最後の1本や終点からの回送は、気持ちが急ぐあまり速度が速くなりやすいので法定速度を越えないよう十分注意します。
【20:00】帰庫&退勤
支店(営業所)に到着すると、燃料を入れ洗車をしバスを駐車して乗務終了となります。
カバンや金庫をもち点呼場に戻り運行状況や異常がなかった報告し、乗務日報などの書類を提出します。
退勤のアルコールチェックを行い、翌日の出勤時間の確認を行い本日の勤務は終了となります。
解説
会社によっては帰庫後の燃料や洗車は外注している場合もあります。
その場合は到着したら、バスはお任せできるのでだいぶ楽になります。
燃料からの洗車で早くても20分~30分はかかりますし、長い乗務の後はかなり疲れます。
バス会社を選ぶ際の基準として、外注している会社を選ぶと仕事の疲れがだいぶ軽減されるかもしれません。
注意点
≪まとめ≫【完全版】バス運転手の1日(ルーティン)をご紹介!【路線バス編】
今回はだいぶ長文になりましたが、バス会社のHPには載ってないようなところまで詳しく解説できたと思います。
バス運転手を目指す方の参考になれば幸いです。