コロナ禍によってバス運転手の働き方や年収は一変しました。
この記事を書いている2021年現在も、いまだにウィルスは収まることなく仕事に影響を与え続けています。
これからバス運転手を目指す方にとっては、
「コロナ禍でどのように働き方が変わったのか。」
「年収はどれくらい下がったのか。」
とても気になっていると思います。
特にバス業界未経験の方は、コロナ禍で一変したバス運転手を取り巻く環境を理解しておく必要があります。
そうでなければ、入社後に自分の理想と現実のギャップが大きくなり、バス運転手の仕事を長く続けることができなくなるかもしれないからです。
この記事ではバス運転手になりたい方に向けて、具体例を6つ挙げながらコロナ禍でバス運転手の働き方や年収がどう変わったのか詳しく解説します。
コロナ禍がバス運転手に与えた影響を知りたい。
結論は、仕事減・お客様減・給料減・モチベーション減の「4減」です。
↓筆者の自己紹介
※ここに記載した内容は特定の会社・団体・組織・個人を指すものではありませんのであらかじめご了承願います。
※会社ごとに状況は異なり、一概に言えない部分もある事をあらかじめご了承下さい。
仕事がなくなった
コロナ禍前のバス業界は慢性的な人手不足でした。
特に繁忙期には休みが月2日しかないこともあり、稼ぎたい運転手であればたくさん働けて非常にやりがいのある環境だったと思います。
(ほどほどの勤務でいい運転手はしんどかったと思いますが…)
しかし1度目の緊急事態宣言が発出された2020年4月以降、高速バスの運休や貸切バスのキャンセルが相次ぎ一気に仕事が無くなりました。
幸いにも僕が働いている会社は、少ないながらも一般路線バスもあったので仕事が0になることはありませんでしたが、貸切専業のバス会社は数カ月全く仕事がない状況が続いたこともあったようです。
運転手の中には、休みが多くなったことで趣味などプライベートを充実させる人がいる一方、僕は休日でも乗務して稼ぎたい人でした。
そんな人は心にぽっかり穴が開いたような気分で、休みの日に何をすればいいか分からなかったという運転手もいたと思います。
感染者が減少するにつれて、高速路線の運行再開や貸切の仕事が戻ってきた時期もありました。
しかし冬になり感染者数が再び増加し、2度目の緊急事態宣言が発出されると高速路線の再減便や貸切の仕事が再びキャンセルになるなど、しばらくは予断を許さない状況が続くと思われます。
お客様が激減
1度目の緊急事態宣言が発出されて以降、バスを利用されるお客様が激減しました。
日本バス協会が、
「貸切バスは換気が優れた乗り物です。」
と必死にアピールしていますが、1日乗務してもお客様が0名という日も珍しくありませんでした。
僕は過去の苦い経験からお客様のプレッシャーに弱いので、お客様が少ない方が気持ちがラクに乗務できていたのが正直なところでした。
しかし1か月、2か月経ってもお客様がコロナ前の水準に戻らないので、
「会社の経営は大丈夫なのか?」
と考えるようになりました。
このままだと僕自身の雇用が危うくなるとさえ思うようになりました。
自分勝手ではありますが、だんだん会社の心配をするようになり、お客様が戻ってきてくれることを心から祈るようになりました。
バス車内での咳に過敏になった
バス車内での咳に、運転手とお客様双方が過敏に反応するようになりました。
コロナ以前も運転手の咳に対して不快感をあらわにするお客様はいました。
お客様によっては運転手の咳は苦情の対象になります。
しかし運転手も人間ですから体調の良し悪しはあります。
僕も喉が痛く咳が出やすい状態で乗務したことがありますし、乾燥しやすい冬の季節は通常でも咳が出やすくなります。
しかしコロナ禍では1度咳払いをしただけでも、マスクをしているにもかかわらず車内ミラー越しにお客様の視線を感じることが増えました。
社会全体が咳に過敏になっている今、咳をするとクレームが来るのではないかと恐れるあまり我慢することも増えました。
逆に僕もお客様の咳に対して過敏になりました。
マスクをしていても咳き込んでいるお客様がいれば、寒くても運転席の窓を開け換気扇を「強」にしています。
ちなみに換気扇を「強」にするとファンの音がかなり大きくなるので、
(ちょっとあからさまかな…)
と気まずく思うときがありますが、感染するよりましなのでリスクを少しでも減らすために行っています。
アルコール消毒の取り扱いに要注意
コロナ対策でいたるところにアルコール消毒が設置されるようになりました。
会社内はもちろんのこと、バス車内にもお客様用や車内消毒用が設置されています。
しかし、このアルコール消毒がくせ者です。
なぜならバス会社で使用しているアルコール検知器は、直前に食べた物に含まれるわずかなアルコール分にも反応するほど非常に高性能なため、体内にアルコールが残っていなくても誤反応してしまうことがあるからです。
例えば自分の手を消毒した後や、消毒したアルコールが空気中に残存している状態でアルコール検知器を使用すると反応する確率が高く、検知器を使用する前のアルコール消毒は非常に気を使わなければなりません。
実際に運転手がアルコール消毒をよく行うようになってから、アルコール検知器の誤反応が増えており、アルコールを使用する際のルールを厳格に決めるなどかなり気を遣っています。
給料が大幅ダウン
バス運転手の給料は基本給が低く各種手当、特に超過勤務手当(休日に出勤した場合や渋滞などで遅れた場合につく手当)で稼ぐのが基本です。
しかしコロナで仕事がなくなったため、超過勤務で稼ぐことができず、低い基本給とわずかな手当でしのいでいる状況です。
独身ならまだしも扶養家族がいたり、住宅や車のローンなどを抱えているバス運転手は特に厳しいと思います。
ちなみに僕の場合は、2020年の年収は前年と比べて700,000円減少、月収に換算すると約58,000円も減りました。
月に58,000円も減るのは家計にかなりのインパクトを与えるためなかなかキツイです…
短期間で大幅に給料が下がったために早急に家計の見直しを行ったり、これまでの生活水準を下げる必要があるため、よりしんどく感じます。
そうは言うものの、会社設立以来の危機といえるほど会社の売り上げが大幅にダウンしている中で、雇用を守り給料をちゃんと支払ってくれる会社には頭が上がりません。
仕事に対するモチベーションの低下
僕はバス運転手という仕事にとてもやりがいを感じています。
今まで辛いこと、嫌なこともたくさんありましたができるだけ前向きに頑張ってきました。
しかし、現状はバス業界にとって前例のないほどの逆風が吹いており、バス運転手も多大なる影響を受けています。
2020年4月に全国に発出された緊急事態宣言により次々に路線バスが減便され仕事がなくなり、ステイホームや3密回避が叫ばれるなかお客様も激減。
バス会社の売り上げは大幅減となり結果としてバス運転手の給料も大きく下がりました。
閑散期のように一時的にお客様が少なくなるのとは異なり、コロナウィルスは影響がいつまで続くのか全く先が見えず、仕事に対するモチベーションの維持が難しくなってきています。
なによりワクチンが普及してコロナがインフルエンザのような感覚になったとしても、果たしてバスの需要がコロナ禍前に戻るかどうかは定かではありません。
まさに真っ暗闇のトンネルの中を手探りで進んでいるような状態と言えます。
【まとめ】当分先の見えない状況が続く。耐えるか別の業界に転職するか。
冒頭でバス業界を目指している方向けにこの記事を書いているとお話しましたが、こんなにネガティブな話題を目にしたらバス運転手になりたい人なんて誰もいないだろうとすら思ってしまいます。
しかし、バス会社によって大なり小なりあれど、これが現状であるのは間違いありません。
僕の前職はバス業界と全く関りが無かったため、転職する時は大きな不安がありました。
しかし実際働いてみると、しんどいことは多々ありますがそれでもやりがいを感じながら前向きに頑張ってきました。
しかしコロナ禍という先が見えない未曾有の事態に大きく翻弄される中、
「もうバス運転手という仕事はダメかも。」
とマイナス思考になっている僕がいるのも正直なところです。
去年から街で普通二種、大型二種の教習車を見かけることが多いですが、おそらくタクシーやバス業界に転職を希望する方も増えているのではないでしょうか。
しかしバス運転手に転職を希望される方は今一度、この記事で書いたような現状をしっかりと理解し、納得した上で転職を決断してください。